アクアリウム・熱帯魚飼育水槽における活性炭と吸着について

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アクアリウムの世界では、水槽立ち上げ時や、水質の悪化時などに、濾過内に吸着材として活性炭を使用し、各メーカーから簡単に交換ができるカートリッジタイプのものが販売され、どのメーカーにおいても、活性炭の使用と定期的な交換を推奨している。
アクアリウムや水槽での水生生物の飼育をする場合に、吸着濾過として活性炭の使用の歴史は長く、様々なメリットがあるものとして考えられ、今でも常用的に必要なものとして存在している。

ただ、デメリットや不要なものといった意見を唱えるアクアリスト、ユーザーも多く、今でも賛否両論あるのが現状。
そこで、アクアリウムの濾過における、活性炭の役割について徹底調査してみることにした。

長々しい文章を読むのがめんどくさい方はこちらの簡易版へどうぞ

活性炭吸着 水槽での効果(簡易版)

アクアリウムにおける活性炭の役割とは?

活性炭の役割としてよく聞く、見る事項をまとめてみると

  1. 臭いや濁りを吸着除去することができる
  2. 水槽内で発生したアンモニアを吸着する(しない)
  3. 一定期間経過で交換が必要(交換しないと有害物質を放出する)

大体大きく分けてこのような意見が多い。

これら一般的に言われていることをひとつずつ解説していきますが、ちょっとその前に。

まずは、基本的な知識として「活性炭とは何か?」「吸着とはどういうことか?」ということを理解しておきましょう。

 

活性炭とは何?

活性炭とは、炭を賦活化させたもので、特定の物質を選択的に分離、除去、精製するなどの目的で吸着効率を高めるために化学的または物理的な処理(活性化、賦活)を施した多孔質の炭素を主な成分とする物質である。

高い吸着機能を持ち、賦活化は、900℃前後の高温下での水蒸気による活性化などにより行われる。
化学的な吸着は金属触媒等を活性炭に坦持させるような付属的的な場合に限られ、物理的な吸着が大部分である。

炭と活性炭の能力特性は基本的に同じであるが、物理的な吸着能力が10~数10倍異なる。
活性炭の表面は疎水性(水に溶けにくい性質)が強いため、一般に、疎水性が強く分子量が大きい物質ほど吸着されやすい。

一方、親水性が強く、分子量が小さい物質ほど吸着されにくい傾向にある。

活性炭における吸着とはどういうことか?

活性炭の界面の原子は、物質内部のように周囲と結合していないため自由エネルギーが大きい。
このため、界面原子は近接した分子やイオンなどの化学種を結合し、自由エネルギーを小さくしようとする。

この現象を吸着という。

ということのようですが
なんのこっちゃかわかりませんよね?

活性炭とは、炭を活性化させて物理的な吸着能力を増したもの。
これは、あまりむずかしく考えずに

「活性炭は炭を活性化させて作り、吸着能力を向上させたもの」

とだけ覚えておけば十分です。

吸着とは、その活性炭の表面が、近くにある溶質を引き寄せて結合する現象。

これをもっとわかりやすくすると。
分子はそれぞれ手が生えていて、物質ごとに、手の数や、手に荷物を持っているか、手ぶらなのか、は違ってくる。

活性炭の内部は活性炭の分子同士が固く手を繋いでいるが、活性炭の表面の分子は、手を繋ぐ相手がいないので、手ぶらの状態で、その分子たちは何か荷物を持つか、または誰かと手を繋ごうとして、常に届く範囲は手探りで手を繋ぐ相手を探している。

液体中では、その液体に溶けている物質やイオン状の分子が近くを通り、手の空いている分子が通過する時に、活性炭表面の分子に手を掴まれる。
この掴んだ手はそのままで、自分のもとに引き寄せて、しっかりと手を組んで簡単には離さなくなる。

「自由エネルギーが大きい」とはこの手が自由な状態で、「自由エネルギーを小さくしようとする」は手を繋ぎたがること。

分子同士が手を繋ぐことを「結合」、流れいている分子と手を掴んで引き寄せて結合し、離さなくなることを「吸着」と呼ぶ。
この分子の「手つなぎ理論」は、数年前に、大学で化学を学んでいた知人から説明された時に使っていた表現で、とてもわかりやすかったので使わせてもらいました。

これはあくまでわかりやすく説明するための例えであって、実際に手が生えているわけではないし、「手が生えていて掴む」という表現は、化学的には少し違うようなのですが、全くわからない方にうまく伝えるには、非常にわかりやすくていい例えだと思います。

吸着には「化学吸着」と「物理吸着」あるが、、活性炭の吸着は主に物理吸着である。

ここからはいよいよ本題の「アクアリウムにおける活性炭の役割」について迫っていきます。


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水槽内での活性炭の役割

  1. 臭いや濁りを吸着除去することができる
  2. 水槽内で発生したアンモニアを吸着する(しない)
  3. 一定期間経過で交換が必要(交換しないと有害物質を放出する)

上記3つの項目ごとに調査、考察していく

臭いや濁りを吸着除去することができるのか?

これは、臭いや濁りの元となる物質と、活性炭の性質を理解していれば自然と答えがでてくるはずだ。

そもそもアクアリウムにおいて、水槽内で発生する臭いや濁りのもとは何なのか?

臭い、濁りの種類を全て調べようちしても、とてつもない種類があり、また、除去するべき臭いや濁りというのはどの程度のことを指すのかというのは基準を作ることが難しく、「人間の鼻で感じて、目でみて気になる程度」というくらいのことでしかない。

つまり「アクアリウムにおいて」というよりは人間にとって気になるような臭い、濁りのことを指し、それだけに限定してしまえば臭い、濁りの原因となる物質は代表的なものの数種類に限定される。

主な臭いの原因とされる物質

  1. アンモニア(尿、糞から発生する臭い)
  2. トリメチルアミン(腐敗した魚の臭い)
  3. 硫化水素(腐卵臭)
  4. メルカプタン(腐敗したタマネギの臭い)

主にこれくらいだが、アクアリウムの水槽内で考えた場合

  1. アンモニア 水槽内の生体の排泄物から発生
  2. トリメチルアミン タンパク質の由来で食べ残した餌や、死魚などを放置した場合に発生
  3. 硫化水素 ろ過器内の目詰まり、極度の嫌気性状態などが原因で発生
  4. メルカプタン 水槽内では発生しない、もしくは微量と推測

では、これら物質の活性炭との関係はどうなのか?

活性炭といっても、賦活条件が違えば性質もわずかに異なり、どんな性質の活性炭を使用するかによって違いはあるようなので一概には言えないが、活性炭は、基本的に有機物を優先的に吸着する性質があるため、トリメチルアミン、アミノ酸は容易に吸着されると予想される。

硫化水素も基本的には吸着効果があるとされている。
補足だが、水槽まわりから硫化水素が発生するような状況はごく希で、万が一そのような状況にあれば、活性炭が吸着する云々ではなく、別の解決策を施すのが賢明である。

では、不快な臭いの代表格、アンモニアはどうなのか?

活性炭による吸着はアンモニアガスであれば容易に吸着が可能で、有効な消臭手段として、様々なところで活用されている。
ただ、アンモニア水、アンモニアが水に溶けている、水溶液の状態(イオン)であれば非常に吸着されにくい。

「手つなぎ理論」で言えば、活性炭の表面の手は、なんでも掴むというわけではなく、相手がどのような分子かによって、掴みやすいかどうかが違い、基本的には疎水性(水に溶けにくい性質)の物質を掴みやすい傾向にあるため、水中に溶けている状態のアンモニアである、アンモニウムイオンは吸着しにくい。

アンモニアはphにより水溶液中でガスとイオンの存在比が決まり、phと水温を上昇させて、曝気すれば、アンモニアガスとして大気へ揮散させることができるが、アクアリウムで急激なph上昇や、温度上昇はできないため、意図的にガス状にすることは現実的ではない。

また、曝気によって揮散したアンモニアガスを選択的に活性炭に吸着させることも一般家庭内では不可能。

では、アンモニアは吸着できずに臭いを除去することはできない。ということになるのか?

アンモニアは非常に水に溶けやすい性質があるため、水槽内のアンモニアのほとんどが溶解し、イオンの状態で存在している。

活性炭における吸着は、「活性炭における吸着とは?」で述べたように、その吸着現象が活性炭の界面上で起きていて、活性炭が水槽内の水中にあるため、ガス状のアンモニア、イオンの状態で存在しているアンモニアともに、ほとんど吸着していない。

たが、アンモニウムイオンも水中の有機物と結合し、有機化合物として吸着されることはあるようで、間接的にではあるが、いくらかはアンモニウムイオンの吸着除去効果があることにはなる。
微量でもアンモニアを吸着しているため、水槽内の「アンモニアの吸着除去に効果がある」と言いたいところだが。

人間の感知する臭いの原因となるアンモニアは、ガス状のアンモニアを指し、アンモニアガスはほとんど吸着されない状況で使用しているため、「水槽から発生するアンモニア起因の臭いを吸着除去することが可能」と言える程の効果はない。

つまり、アクアリウムにおいて、ろ過器内部に設置する活性炭カートリッジは、臭いの吸着除去効果はあるが、それは恐らく、水中の有機化合物を吸着することで、トリメチルアミン、硫化水素などを発生させないようにし、臭いが発生するような環境にならないように未然に防ぐためのものだと予想され、空気中のように、糞尿から出るアンモニア臭に直接作用するような効果が目的ではないと考えられる。

アクアリウムのろ過器に活性炭を投入し、臭いを除去することは、水中で吸着可能な物質に限られるため、除去効果は気休め程度である。

主な濁りの原因とされる物質はなんなのか?

アクアリウムにおける「濁り」といっても、その物質、原因を完全に特定することは難しい。

水槽内の飼育水が濁る、ということは、目に見えるほどのわりと大きめの粒子が浮遊している状態が多く、底床起因であったり、ろ材起因であったり、流木によるアクであったりと、ひとことで「濁り」といっても様々である。
「活性炭における吸着とはどういうことか?」で述べたように、活性炭の界面は自由エネルギーが大きく、その自由エネルギーを小さくしようとするため、界面付近を浮遊する物質を引きつけて、結合して吸着現象が起こる。

活性炭の吸着現象のほとんどは「物理吸着」であり、飼育水の濁りというのは、微細な粒子が浮遊している状態で、この粒子を吸着することを指し、濁りの吸着除去は「物理吸着」によるものと考えられる。

この「物理吸着」で、分子を引き付ける力を「ファンデルワールス力」と呼ぶ。(ファンデルわーるすか、ではなくてファンデルワールスりょくです)
「ファンデルワールス力」は「凝集力」ともいい、電荷を持たない分子同士が結合しようとする力。

「手つなぎ理論」で言う、自由エネルギーの大きい活性炭の手が、掴んだ分子の手を引き寄せる、腕力のようなもの。

液体の濁りの吸着除去は、一般家庭の生活の中でも実用例は多く、水処理施設や浄水器などで使用されている。

活性炭の界面上で働くファンデルワールス力によって、微細な粒子を吸着することが可能なため、「水槽内の濁りを活性炭で吸着除去が可能」だと言える。

水槽内で発生したアンモニアを吸着するのか?しないのか?

アクアリウム界では非常に重要な項目で、活性炭による吸着ろ過の長い歴史の中でも賛否両論あり、永遠のテーマ的な項目。

だが、活性炭の吸着効果に未知な部分があるにしても、ひとつひとつしっかり理解していけば、必ず答えは導きだせるはずです。

「活性炭によって、臭いや濁りを吸着除去することができるのかどうか?」では臭いの原因としてのアンモニアについて述べたが、アクアリウムにおけるアンモニア起因の弊害は、臭いなどではなく、その強い毒性であり、飼育水を管理する上では、飼育水中のアンモニア濃度というのは非常に重要どころか、アンモニアの発生原因、分解除去方法を理解していないとアクアリウム、アクアリストとは言えない問題である。

アンモニアには強い毒性があり、アクアリウムの飼育水中のアンモニア蓄積は、飼育する水生生物へ大きなダメージを与えてしまう。

アンモニアを分解できるような環境ができたとしても、分解されて副産物としてできた、亜硝酸や硝酸塩もまた、高濃度になれば生体には有害なため、生体にとって、快適で健康なアクアリウム環境を維持するためには、飼育水中のアンモニアの濃度と処理方法がまず第一に考えるべき重要な項目である。

では、本題の「活性炭がアンモニアを吸着するのか?」

「活性炭によって、臭いや濁りを吸着除去することができるのかどうか?」で述べたことをまとめると
活性炭におけるアンモニアの吸着効果は

・アンモニアガスは吸着しやすく、吸着除去効果は高い
・液中に溶解しているアンモニウムイオンは非常に吸着されにくく、吸着除去効果は低い

ということである。

アンモニアは水に溶けやすいため、水槽内ではほとんどがアンモニウムイオンの状態で存在する。

「活性炭とはなにか?」で出てきたように、活性炭の表面は疎水性が強いため、疎水性が強く分子量が大きい物質ほど吸着されやすく、親水性が強く分子量が小さい物質ほど吸着されにくい傾向がある。

つまり、アクアリウムで、活性炭を使用する場合は、活性炭は水中にあるため、アンモニアガス、アンモニウムイオンともに非常に吸着されにくい状態にあり、吸着除去効果は非常に低い状態で使用しているということがわかる。

水処理技術の文献を調べたところ、アンモニアが液中に溶解している状態のアンモニア水の処理技術は

・「アンモニアストリッピング法」
アルカリ剤を添加してphを上昇させて曝気し、アンモニアガスとして揮散させ、アンモニアガスを別途処理する

・「不連続点塩素処理法」
過剰の塩素を添加してアンモニアを酸化し窒素ガスにする

・「イオン交換法」
イオンを置換してアンモニウムイオンを吸着除去する

・「触媒分解法」
空気を供給し、加温加圧条件下で触媒と接触させることで、アンモニアを酸化還元し、無害な窒素ガスにする

の4つが主流のようで、活性炭を水中で使用し、液中に溶解しているアンモニア、アンモニウムイオンを吸着除去するような方法は記載されてはいない。
排水技術で活性炭が使用されるのは、やはり有機化合物の吸着が目的の場合が多い。

他は、上水道の臭いや色素の除去、各種排水処理で処理された後に残る微量の溶存有機物質の除去程度の三次的処理に限られる。

アンモニア水の処理での活性炭の使用は、アンモニアストリッピング法で揮散させたアンモニアガスを処理する場合に活性炭を使用しているだけである。

つまり、アンモニアの除去を目的とした場合は、活性炭の性質上、吸着除去効率やランニングコストの面から考えて、効率の悪い水中では使用せず、アンモニアガスにしてからそのガス処理に活性炭を使用する方法が最も効果的で高効率だということだ。
ただ、水中のアンモニウムイオンを全く吸着除去しないわけではなく、実際には水中のアンモニウムイオンは他の有機物と結合し、有機化合物を作る。

そのため、活性炭の性質上、有機化合物を吸着しやすいため、アクアリウムにおいても、「水槽内で発生したアンモニアを吸着する」は間違ってはいないのかもしれないが、そもそも、アクアリウムでの活性炭の使用はアンモニアの除去が目的ではないので、吸着できる、できないを考えるよりも、活性炭の使用目的として、アンモニアの吸着除去は目的の対象外であるということを理解しておこう。

一定期間経過で交換が必要(交換しないと有害物質を放出する)

これは、「メーカーの戦略だ」とか「最初から意味がない」と言われる方が多く、わりとメーカー推奨の定期交換理論にはアンチな意見が多い。

吸着する物質を吸着剤、吸着される物質を吸着質と呼ぶ。
吸着とは反対に、結合が解かれ、吸着質を放出することを脱着という。

活性炭の界面上において、物質の分子の間には引き合う力「ファンデルワールス力」が発生する事で物理吸着が可能なわけですが、一度吸着された吸着質は、そのままの状態では脱着されることはない。
一度掴んだ手は離さず、吸着した物質を無意味に脱着するようなことはなく、放出はしない。

活性炭を充填したろ過器に飼育水を通水させて有機物を吸着させるていくと、はじめはろ過器出口から有機物濃度のの低い飼育水が得られるが、時間の経過とともに飼育水中の有機物濃度が増加する。

一定の通水条件下で飼育水の有機物濃度が許容値に達する点を破過点という。
この破過点は、「手つなぎ理論で」言えば、界面上の分子全てが他の何かの分子と手をつないでいて、手がひとつも空いていない状態で、活性炭の表面の分子が一度に手をつなぐことができる限界点である。

この破過点を超えて通水し続けても、飼育水中の有機物濃度は減少することはなく、餌を与え続ければ飼育水中の有機物濃度は増加していく一方となる。
つまり、破過点が吸着の限界点であるため、この破過点到達のタイミングがわかれば活性炭の交換の時期が予測できる。

だが、この破過点は、通水速度、飼育水の有機物濃度、活性炭の飼育水との接触面積や、給餌の量によって変化し、常時有機物濃度を測定し、通水速度を調整し計算から破過点を導き出すような人はまずいないと思われるし、飼育水の変化は簡単に分析できるほど単純ではなく、理論通りにはならないので事実上は計算が不可能である。

よっぽど計算し尽くされた設計と、飼育ルールの徹底でもしていない限りは、破過点の厳密な予測は難しいと思われる。

破過点に到達した活性炭は、新しいものと交換するか、再生して反復使用する。

再生とは、活性炭を高温、高圧などで処理することで、活性炭に吸着された有機物を分解すること。
再生後の活性炭は再び有機物を吸着できる状態となり、破過点に到達し、有機物で飽和した活性炭を再生することにより、反復利用することが可能である。

ただ、この再生は、高温高圧の工業的処理であり、排水処理技術の面では、新炭と交換するか再生するかはコストの面から検討し決定するが、もちろん一般家庭では再生などできないので、アクアリウムでは破過点到達前に交換するのが賢明である。

ここまでをまとめると

・吸着質は脱着しない
・破過点到達後は吸着質量は増加しない

ということになり、破過点に到達した場合は、活性炭は吸着剤としての効果はなくなり、早い話が使用期限切れである。
先程も述べたとおり、飼育環境で破過点は異なり、許容期間は簡単に予測できるものではない。

ではどうするべきか?

恐らくメーカーは、商品開発の段階で、活性炭カートリッジのサイズから、予想される飼育水量から生体数などを予測し、アクアリウムで一般的に言われている飼育方法で生体を飼育した場合にはこのくらいの期間になる。
といった意味で交換時期の目安を記載している可能性が高い。

活性炭の効果が最も発揮できる期間は、投入直後~破過点の直前であり、メーカーは多少短めには見積もっていると思われるが、破過点到達までの期間の長短はユーザーの飼育方法次第ということになるだけである。

つまり、結局のところ、活性炭とはそういったものなので、吸着剤としての恩恵をきっちりと受けたければ、つべこべ言わずにメーカーの推奨する期間にしたがって交換するしかないということ。

では、推奨期間をすぎても交換せずに使用するとどうなるのか?

ここからはとても重要です。

活性炭に飼育水を接触させ続けると徐々に吸着は進行し、いづれは吸着剤の効果としての限界点、破過点へ到達する、大事なのはここからで、吸着は破過点到達以降も進行していく。

・吸着質は脱着しない
・破過点到達後は吸着質量は増加しない

と先ほど出てきたばかりなのに混乱しますよね?
これは一体どういうことなのか?

この破過点とは、到達以降はそれ以上に吸着質の量が増えないというだけで吸着は続く。
基本的に吸着された吸着質が脱着されることはないが、破過点到達後に飼育水を通水し続けると、活性炭表面では吸着と脱着が同時に起こり、分子は入れ替わり続ける。

「手つなぎ理論」で考えると、まず一つの手で二人と手をつなぐ、一つの手で二つの荷物を持つというようなことはできない。
活性炭は単体ごとにはじめから手の数は決まっており、それ以上に手が増えることも減ることもない。

破過点に到達した後も、活性炭表面の近くを分子が通過する場合、完全に無視して素通りさせるわけではなくて、結合している分子とつないでいる手を離すと同時に新たに通過しようとする分子の手を取って結合する。
なかなかの浮気性ぶりだが、このようにして、破過点に到達した後も、吸着質の量は変わらないまま、吸着と脱着を同時におこない、分子は入れ替わり続けるのだ。

つまり、破過点とは、吸着の限界点ではなく、吸着剤としての効果の限界点であり、実際には吸着は継続されているが、飼育水に対しては吸着効果を発揮しなくなるということである。

ではこれがどのように飼育水に影響してくるのか?

ここまでしっかり理解できている方はすでに気づいていると思うが。

・吸着質は脱着しない
・破過点到達後は吸着質量は増加しない
・破過点到達後は吸着と脱着が同時に起ここる

脱着した分子は当然、再び液中に放出されます。
つまり、最適な交換時期は破過点直前であり、破過点到達後は吸着と脱着が繰り返される。
また、一度吸着した有機物を放出しはじめるのが破過点というように言い換えることもできる。

ということは、破過点の予測によっぽど自信がある方は、自ら導き出した交換期間を目安に交換すればいいですし、よくわからない、あまり難しいことは考えたくないという方は、メーカーの推奨する交換期間を目安にすることが賢明だと思われます。

恐らく、メーカーが推奨交換期間を提示しているのはそういった方々のためだと思います。
そして、一定の期間を超えて、長期間使用していると、吸着した有機物を放出します。


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