熱帯魚の王様とも言われるディスカス。
ここでは、ディスカスをより安全、快適に飼育し、長く楽しむために必要な基礎知識を紹介していきます。
飼育の知識と言えば、水質や水温の管理から、レイアウトや照明の役割と重要性や、病気の症状や患ってしまった時の対処法まで。
ディスカスに関する情報をここにまとめてみました。
Contents
ディスカスとは?
主に、南米アマゾン川流域に生息している淡水魚です。
スズキ目・シクリッド科・シムフィソドン属Symphysodon に分類されています。
現地では、流れの弱い沈水林に生息しているため、丸い体型をしていると言われています。
熱帯魚の中でも、ディスカスは非常に人気が高く、多くのアクアリストやブリーダーに愛され続け、熱帯魚の中でも王様的な存在となっています。
世界各地で改良品種が進んでおり、様々な種類が流通しています。
元首となると、水質管理がかなりシビアになってくるようですが、近年では、東南アジアから多くの養殖個体が日本へ輸入されているため、きちんとした設備と、基本的なメンテナンスを続ければ、飼育はしやすくなっています。
ディスカスの飼育方法
非常に丈夫な種類で、特に改良品種や養殖個体の飼育は一度コツをつかめば容易で、ブリーディングも可能です。
水槽
幼魚からの飼育となれば、60センチ程度の水槽でも飼育は可能です。
ただし、最終的には90センチ以上の水槽が必要となってくるので、できるだけ大き目の水槽を初めから準備しておく方が無難と言えます。
底砂は敷かずに、ベアタンクで飼育していくほうが、掃除や水質管理は容易で、市販のオートヒーターを設置しておけば他には特別なものは必要ありません。
複数匹飼育する際に、ディスカスは、デリケートで臆病な熱帯魚ですので、隠れ家的な場所を作るために、流木や岩、水草などを使って上手くレイアウトしてあげましょう。
レイアウトのアイテムは、多くなりすぎるとそれだけ水量が減ってしまうことになるので、置きすぎには注意しましょう。
ろ過装置
ディスカスは非常に餌をよく食べるので、その分、分の量も多くいため、水槽サイズ、飼育水量、飼育数、濾過のバランスを間違えると急激に水質が悪化してしまう。よ
ろ過器は多少過剰に思うくらいのものを容易したほうが管理も楽で水質が安定しやすい。
もちろん、水換えによって管理するということは、どの生態を飼育しても同じなのでどのようなろ過器を準備しても水換えは必要だということは理解しておこう。
使用するろ過器は、一般的な上部式フィルターや外部フィルターなどで問題はないが、水流を嫌うので水流を逃がすような工夫が必要。
管理の面で言えば、糞の多いディスカスの飼育では、フィルターが目詰まりしやすいので、密閉型の外部式フィルターよりも、すぐに開放できる上部フィルターのほうがおすすめ。
数日に一度の定期の水換えでも水質悪化が早ければ、餌の量を減らす方法もあるが、ろ過を増強することを検討したほうがよい。
水質
「ディスカスの水質管理は難しい」というイメージを持たれている人も多くいるが、実際に流通しているブリード個体は、水質に対する適応力があり、中性から弱アルカリ性よりでも十分飼育できる。
難しいのは原種ワイルド個体で、種類によって生息域が異なり、極端な弱酸性を好む種類もいるくらいなので、飼育する個体の原産地の水質をリサーチし、できるだけ元々生息していた自然に近い状態を保つことがワイルドディスカスをうまく飼育するコツといえる。
アマゾンの水質はエンゼルや他の熱帯魚と同じように、中性=弱酸性であるため、ワイルド個体の水質は軟水、弱酸性の環境を理想とする。
しかし、実際に飼育するとなれば、水槽という環境での水質の維持は、ろ過バクテリアと水換えが主。
弱酸性の環境は、濾過バクテリアが活動しにくく、長期間の安定は望めないため、水替えを少しでもサボると、phは急激に低下し、飼育水は腐敗水へと近づいていく。
そのような状況に一度陥ると、悪循環になり、腐敗に追いつけずに大切なディスカスは短期間で★になることもあります。
そうならないためにも、弱酸性よりにするよりは、中性付近を保つようにしたほうが失敗は少ないといえる。
餌
ディスカスハンバーグとアカムシをよく好んで食べ、栄養も十分に与えられる。
配合飼料でも食べてくれれば特に問題はない。
複数飼育では、エサを与えた時に、テリトリーを奪い合うため、全体に行き渡るようにす対策をとり、全ての個体がきちんと餌をたべているかどうかをチェックする必要がある。
少しでも水質悪化を防ぐ対策として、冷凍赤虫を網に入れて、水洗いしてから与える方法がある。
・ディスカスハンバーグ
栄養価が高く嗜好性も高い。
保存も可能でディスカス飼育には欠かせない定番の餌。
牛ハツを主原料にしており、幼魚から成魚まで幅広く使える。
水質悪化が驚くほど早く、ミズミミズ発生の引き金にもなるので水質管理は十分に注意。
ディスカスハンバーグはディスカスの成長を早めると同時に、あまり大きすぎる状態で与えると、口から吐き出してしまうので、細かく刻んで食べやすい大きさにして与え、食べ残しがないように注意する。
与える量と大きさ考えないと、栄養価が高いため、食べ残しが多く発生すると水質悪化を急激に促進するので、1日2~3回を目安に、成長速度と水質とのバランスと見ながら調整する。
牛の心臓とエビをミンチにし、各種添加物を入れた冷凍餌で、使用は解凍してから細かく砕き与える。
色挙げ用や駆虫用の物もある。
・アカムシ
嗜好性、栄養価も高くハンバーグと併用することで、これ以外の餌を与える必要は特にない。
保存は冷凍庫になるので、少し気持ち悪く感じることもあるため、家族の理解が必要。
・配合飼料
ディスカス専用に開発された餌も多くあり、これだけでも飼育は可能。
他の餌に比べると嗜好性が悪いため、食べない場合はただ水質を悪化させるだけとなる。
水温
ディスカスのほとんどの種類が、水温25~26℃の流れの殆どないところで生息しているため、水温、水質の変化が少ない沼地のような状態を想像して環境の設定する。
幼魚時は成長を早めたい場合は、30℃~32℃と少し高めの温度で高温で管理すること多い。
若魚~成魚は普通の熱帯魚と同じで28℃前後で特に問題はない。
ただし、水温を30℃以上にあげると、ろ過バクテリアの機能は低下し、嫌気状態にもなりやすいので、水質悪化の速度は早まるため、その分、水換えの頻度も多くなることも覚悟しておいて下さい。
不安なようであれば、幼魚から25~28℃付近で一定で管理すれば問題ない。
購入時の注意点
市場では養殖個体が多く流通し、養殖の段階で色揚げ効果のある餌を与えられている事が多いため、入荷直後に発色している個体に遭遇することもある。
大切なのは成魚になってからの発色で、購入する際には健康である事、奇形で無い事、目が異様に大きくない事などを、健康な個体の目安として購入することを心がける。
うまく飼育すれば寿命は3年~5年と長い付き合いになります。
できれば安価な輸入個体は避けて、自家繁殖を行っている信用あるショップで購入したほうが安心です。
長年繁殖を手がけるような、ベテランのディスカスマニアから手にいれるのが最も安全な購入方法です。
マニアの飼育している個体は、かなりのこだわりを持って、愛情を注いで育てていることが多く、ショップよりも優れた個体が多い傾向にあります。
初めてのディスカス飼育で注意することは、はディスカスは集団性のあるため、少数では臆病になり、大きな水槽に2、3匹程度ではおびえて餌を食べてくれなかったりします。
90cm以上の水槽で10匹程度からの飼育したほうが、環境に馴染み易かったりします。
ディスカスは性格が悪く、10匹入れれば1番から10番まで強弱の順番が出来てしまうと言われているほどなので、出来るだけサイズの近いものを10匹選べば、弱い者苛めなどのトラブルが起きにくくなります。
ショップなどでできれば避けたい個体などを見分けるポイントをいくつかあげておきます。
・呼吸が早い。
・エラ、体に白いものが付着している。(寄生虫)
・体色が他の個体に比べて黒い。
・隅でじっとしている
・ヒレをたたんでいる。(病気)
・痩せ細っている。(寄生虫)
・目がない、おかしい、大きさが違う、形が不細工。(奇形)
・目だけが異常に大きい。(成長不良個体)
など、とにかく見た目で様子がおかしかったり、ブサイクな個体などは避けること。
発色がよくて、元気に泳ぎまわっている個体を選びましょう。
「私を選んで~!」と強くアピールしている個体が良質な個体だと言えます。
雌雄判別
ディスカスの雌雄の判別は少し難しく、わからなければショップの方やブリーダーに問い合わせたほうが確実です。
基本的にオスのほうが体が大きくて気が強く、模様が綺麗に出ている傾向があり、メスはその逆で、体がやや小さくて比較的おとなしく、模様の鮮やかさもオスには劣ると言われています。
他の熱帯魚の様に確実な判別方法はなく、見た目でははっきりとした差がないため、正確に見抜くことは難しいようです。
トリートメント
導入直後はすぐに水槽にいれずに、必ずトリートメント専用水槽で数日様子をみましょう。
ショップの水槽では元気に泳いでいても、自宅の水槽に入れたとたん、調子を崩すこともよくあります。
病気や寄生虫をを持ち込んだりすることもあり、元々飼育水槽にいた魚まで調子を崩したり、最悪の場合は全滅なんてこともあります。
「めんどくさいから」「たぶん大丈夫だろう」と安易に考えず、安全サイドで考え、トリートメントは必ず行いましょう。
トリートメントは専用のタンクを用意し、時間をかけて慎重に水合わせをしたてからタンクへ導入します。
トリートメントタンクには、エルバージュを規定量より少し多めに入れておき、その状態で、最低1週間くらいは様子を見ましょう。
エラにダクチロギルス、ギロダクチルス、キロネドラなどの寄生虫をもっていることがあるので、できればホルマリンで一週間程度の薬浴もしておくと安心。
魚の様子を見て特に問題がないようであれば、本水槽に慎重に移しましょう。
ワイルド種は、トリートメント中に、コンバントリン入りハンバーグを与えれば、の腹の中にいる寄生虫を駆除できるようです。
万が一、トリートメント中に、病気が発覚してしまった場合には、マゾテンでの治療してみましょう。
病気の症状に対する薬の使用方法
熱帯魚飼育では、飼育水の悪化を防ぎ、病気を予防することが必須ですが、一度病気にかかってしまうと、進行は早いため、早期治療が必要です。
病気の治療にも絶対はありませんが、病気の症状とそれに対応する薬をまとめておきます。
細菌性の病気の症状
・片ヒレをたたんでいる
・水槽の隅でじっとしている。
・体色が黒い。
・体が白く綿をかぶったようになる。
・餌を食べない。
投薬する薬
エルバージュ
投薬方法
水温を32~33度くらいまでゆっくり上げる。
エアレーションをしておく。
エルバージュを、規定量、もしくは少し多めに入れる。
60x45x45の水槽で4g程度が目安。
1週間水換えをおこなわずに様子を見る。
照明は暗くしておき物音などで驚かせないようにする。
1週間経過後、元気を取り戻していれば治療は成功です。
副作用
水が白く濁り、ろ過バクテリアの機能が低下。
個体の体表が荒れやすくなる。
エラの吸虫、寄生虫の症状
・呼吸が早い。
・エラ蓋が開いたままになっている。
・エラ蓋から何かがが出ている。
・体をこすりつけるような動きをする。
投薬する薬
ホルマリン
※薬局で購入できますが、印鑑が必要なことと、使用目的の意思表示をする必要があります。
投薬方法
30ppmの濃度になるようにホルマリンを入れる。
半日ほど経過後に水換えをすれば大抵は治ります。
※ppmの計算
1ppm=1/1000000=0.000001
飼育水量(mL)×0.000003=ホルマリン投薬量(mL)です。
cc=mL
副作用
ろ過バクテリアの機能低下
腹の中の寄生虫
・餌を食べない。
・徐々に痩せていく。
・白い糞をする。
投薬する薬
コンバントリン
※魚病薬として、コンバントリン入のハンバーグか、薬局で販売されているは人間用の駆虫剤でも可。
投薬方法
コンバントリン入ハンバーグはそのまま与えるだけ。
人間用のものは、ディスカスハンバーグ、もしくは赤虫に混ぜこんで与えるだけ。
副作用
特になし
メンテナンス
どの熱帯魚でも同じだが、ディスカス飼育で最も重要だと言えるのは水換えで。
他の熱帯魚はろ過を中心に、水換えを補足的な管理方法として考えるが、ディスカスは水換えを中心に考えたほうがいい。
水換えは数日ごとに1/3程度を目安とし、魚の調子と水質を見ながらその量や頻度を調整していく。
ただ逆に過度の水換えにより重金属などの弊害を受けることもあるため、換水には浄水器を用いたり、アクアセイフなどの保護剤を使用することも水換えのコツのひとつ。
飼育環境とレイアウト
熱帯魚飼育は、飼育する種類、個体の故郷を想像し、魚の習性を知るで、飼育方法は大きく改善され、知識を蓄えることでアクアリストとしての腕もあがる。
自然界ではディスカスは、乾季の季節でも水深1mはある川に生息している。
より美しい体型を維持しようと思えば、飼育環境の水深は、背鰭+尻鰭を含めた 丸の3倍程度が理想。
スペースや資金に余裕があるならば、水深60cm(水槽外寸高80cm)以上の大型水槽を設置し、飼育してやれば、美しい体型を維持しやすくなり、ディスカス飼育が存分に楽しめる。
木化石や流木などを利用してレイアウトを組み、照明を弱めにしておけば、より一層自然な雰囲気を演出することができる。
メンテナンスや水質の維持のために、基本はベアタンクにしたほうがいいのですが、ディスカス自身のストレスなどを考えると、きちんと底砂を敷いて自然に近いレイアウトにしてあげたほうがいいと唱えるアクアリストの方もおれれるので、どちらを選ぶかはその飼育者次第です。
照明
アイバンドを有する魚達ほど明るい環境は好まず、何時も警戒して落ち着かない。
※アイバンド:目のところに入った、黒などの模様のこと。
明るい環境をあまり好まないので、照明はリフトアップしておき、光量を少しでも減らす工夫をしておく。
多くのブリーダーは、専用照明を設置していないことも多く、室内用の照明で十分なようであれば特に必要なものではない。
あまり強くない照明だと思っていても、ベアタンク飼育が主なディスカス水槽は、水槽底面や側面で光が反射するため、四方から光を受けている状態となり、ディスカスたちは落ち着かなくなってしまう。
照明を点灯したとたんに物陰に隠れる個体もいるくらいなので、照明は設置しないほうがいいくらいかもしれません。
混泳
ディスカスはエサ喰いが遅いので、小さめのコリドラスなどとの混泳も可能。
よくあるトラブルと対策
いじめ
狭い水槽で複数飼育することの多いディスカス飼育では、必ずといっていいほど、弱い個体に対するいじめが出てくる。
隅っこで発色せずにじっとしている個体は、ほとんど餌を食べることができなくなってしまうので、セパレーターで仕切るか、流木や岩などで隠れ家を作ってあげるようにする。
それでも解決しない場合は、いっそのこと別の水槽を用意して隔離したほうが安全。
その場合、いじめられている個体ではなく、執拗にいじめる個体が必ずいるので、そのいじめる個体を隔離すること。
おびえ
人が水槽で動いたり、急に部屋の照明をつけたり、ちょっとした物音などで極度にビクついて怯えることがある。
時間が経過して、環境に慣れてくれば落ち着く場合もあるが、いつまでも続くようであれば、水槽ジョブから外へダイブすることもあるので、対策を考えたほうがいい。
直接の原因としては、光の強さや振動、機械の低周波や人影など、はっきりしたことはディスカス自身に聞いてみないとわからない。
ほとんどの場合は、水槽の外の物に対して怯えていることが多いので、水槽側面を覆って見えなくしたり、部屋の照明が直接入らない部分を作ったりして様子をみる。
あとはできるだけ、驚かさないように人間が配慮するしかない。
拒食
食欲旺盛なディスカスが餌を食べなくなってしまう理由の殆どは水質が悪化していることに原因がある。
食べなくなった時点でまず最初に水質悪化を疑い、餌はしばらくあげずに水換え、水質測定をおこない、原因を追求する。
どうしても原因が見当たらない場合は、水温をあげて代謝を高めてやれば解決する場合もある。
1日1℃ずつくらいのペースで徐々に上げていき、34℃まで上げて様子をみる。
ただし、水質の項目でも述べたように、水温の上昇は水質の悪化を促進させるので注意。
病気
餌のあげすぎや、濾過不足などにより、水質が悪化すると、あっという間に病気にかかってしまうことがある。
特にエロモナス感染症は手遅れとなるケースが多く、日頃から魚の健康状態をこまめにチェックするようにしておく。
どの熱帯魚、いや動物においても、人間と同じ、病気に対する対策は、かかってからの治療も大事だが、予防と早期発見が最も重要。
pHショックにも弱く、水合わせや水換えの際には十分に注意する。